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コンラート・ヴォルフ生誕100年 特集上映 2025

10/18(土)~1週間限定

国家と歴史の狭間で葛藤し、映画/芸術を探究した稀有な才能を発見する

コンラート・ヴォルフ生誕100年 特集上映 2025

提供:DEFA財団

ドイツの映画大学や芸術賞にその名を冠された映画監督。あるいは、文化官僚。芸術家と国家の関係について考察した、知識人。平和と正義に憧れ、個人としての幸福を追求し葛藤した時代の記録者。瓦礫まみれの歴史の中で、彼は、幾度も引き裂かれながら生きた。生まれ故郷のドイツと、「祖国」となったソビエト連邦の間で。政治(Politik)と芸術(Kunst)、感情(Gefühl)と規律(Disziplin)の狭間で−−。
東ドイツ国営の映画製作会社「DEFA」を代表する映画作家、コンラート・ヴォルフ。生誕100年となる2025年、日本初上映となる4作品を含む初めてのレトロスペクティヴが東京と大阪で開催される。
東西に分断された冷戦期のドイツに生まれたフィルムたちは、新たな分断が加速する現在の世界をいかに照射するのか?

上映作品は、「最も重要なドイツ映画100選」に選出され、今年のカンヌ国際映画祭クラシック部門でも上映された傑作『星』、「ベルリンの壁」が、隠喩として描かれる『引き裂かれた空』、ソ連兵としてドイツを訪れたヴォルフの自伝的作品『僕は19歳だった』、歌手として生きる女性の人生模様『ソロシンガー』など、いずれも必見の7作品。

<上映作品>
◆『星』 STERNE  日本初上映
1959(DEFA=ソフィア劇映画スタジオ)/モノクロ/92分/DCP
監督:コンラート・ヴォルフ/脚本:アンジェル・ファゲシュテイン、ヴィリ・ブリュックナー/撮影:ヴェルナー・べルクマン、ハンス・ハインリヒ/音楽:シメオン・ピロンコフ/出演:サシャ・クルシャルスカ(ルート)、ユルゲン・フローリープ(ヴァルター)、エーリク・S.クライン(クルト)ほか

アウシュビッツに移送されるユダヤ人女性とドイツ人下士官の出会いと別れ
東独・ブルガリア合作。タイトルは第二次大戦中ユダヤ人が身に付けるように強制された「ダビデの星」を暗示する。脚本のアンジェル・ファゲンシュテインは、若い抵抗運動闘士の視点からその「思い出」を描いた。1959年のカンヌ国際映画祭にブルガリア映画として出品し、審査員特別賞を受賞。1995年には「最も重要なドイツ映画100選」に選出された。


◆『引き裂かれた空』 DER GETEILTE HIMMEL
1964(DEFA)/モノクロ/114分/DCP
監督:コンラート・ヴォルフ/脚本:クリスタ・ヴォルフ、ゲアハルト・ヴォルフ、コンラート・ヴォルフ、ヴィリ・ブリュックナー、クルト・バルテル/原作:クリスタ・ヴォルフ/撮影:ヴェルナー・べルクマン/音楽:ハンス=ディーター・ホサラ/出演:レナーテ・ブルーメ(リタ)、エーベルハルト・エッシェ(マンフレート)、ハンス・ハルト=ハルトロフ(メーターナーゲル)ほか

東西ベルリンの分断を象徴するラブストーリー
東ドイツを代表する女性作家クリスタ・ヴォルフが1963年に発表した同名ベストセラー小説を映像化。1964年のカルロヴィ・ヴァリ国際映画祭で公開された後、西ドイツ各地の映画館で上映。東ドイツでは封切り直後に禁止され、1982年にようやくテレビ放映が実現した。1961年8月に建設された「ベルリンの壁」が、隠喩として描かれる。


◆『僕は19歳だった』 ICH WAR NEUNZEHN
1968(DEFA)/モノクロ/119分/DCP
監督:コンラート・ヴォルフ/脚本:カール・ゲオルク・エーゲル、パウル・ヴィーンス、ゲアハルト・ヴォルフ/撮影:ヴェルナー・べルクマン/出演:ジェッキィ・シュヴァルツ(グレゴール)、ワシリー・リヴァノフ(ヴァディム)、アレクセイ・エボシェンコ(サーシャ)ほか

19歳でソ連兵としてドイツを訪れたヴォルフの自伝的作品
1945年4月半ばから5月初め、終戦間近のドイツに敵軍として送られた若い少尉の複雑な気持ちを日記風に描く。歴史的事実をモノクロ映像で再現。自由で自然なカメラワークは、ロベルト・ロッセリーニ『無防備都市』(45)を想起させる。デーファ製作のドキュメンタリー『Todeslager Sachsenhausen(死の収容所ザクセンハウゼン)』(46、リヒャルト・ブラント監督)の処刑執行人へのインタビューが引用されている。


◆『太陽を探す人々』 SONNENSUCHER  日本初上映
1972(DEFA)/モノクロ/116分/DCP
監督:コンラート・ヴォルフ/脚本:ヴォルガング・コルハーゼ、コンラート・ヴォルフ、ヴィリ・ブリュックナー/撮影:ヴェルナー・べルクマン/音楽:ヨアヒム・ヴェルツラウ/出演:ウルリーケ・ゲルマー(ルッツ)、ギュンター・ジーモン(フランツ)、エルヴィン・ゲショネック(ユップ)ほか

戦後ドイツの混乱期にたくましく生きる人々の姿
第二次大戦直後、ソ連と東ドイツが共同経営するウラン採掘鉱山「ビスマス」で働く労働者達の日常と労苦を描く。ファシストだった過去を持つドイツ人現場監督と妻をナチスに殺されたロシア人技術者。身寄りの無い娘ルッツと母親代りの娼婦エミ。脚本の修正や撮り直しを繰り返しながら、ようやく完成したものの上映中止を余儀なくされた。エーリッヒ・ホーネッカー政権下の1972年に東ドイツで劇場公開が叶った。

◆『競技場の裸の男』 DER NACKTE MANN AUF DEM SPORTPLATZ  日本初上映
1974(DEFA)/カラー/101分/DCP
監督:コンラート・ヴォルフ/脚本:ヴォルガング・コルハーゼ、ゲアハルト・ヴォルフ/撮影:ヴェルナー・べルクマン/出演:クルト・ベーヴェ(ケンメル)、ウルズラ・カルサイト(ギジ・ケンメル)、マルティン・トレッタウ(ハンネス)、エルザ・グルーべ=ダイスター(農業生産組合理事長)ほか

社会主義における芸術家の存在意義とは?
40歳の誕生日を控えた、彫刻家の主人公ケンメル。労働者たちや家族、友人など周囲の人々との関係の中で、自身の仕事に自問する日々を送る。ユーモアを含む会話の端々に現れる、繊細なキャラクター造形。静かな余韻を感じさせる描写の中に、イデオロギーをめぐる芸術家のジレンマが浮き彫りになる。


◆『ママ、僕は生きてるよ』 MAMA, ICH LEBE  日本初上映
1977(DEFA)/カラー/103分/DCP
監督:コンラート・ヴォルフ/脚本:ヴォルガング・コルハーゼ、ヴォルフガング・ベック、ギュンター・クライン、クラウス・ヴィシェネフスキ、ディーター・ヴォルフ/撮影:ヴェルナー・べルクマン/音楽:ライナー・ベーム/出演:ペーター・プラーガー(ベッカー)、ウーヴェ・ツェルべ(パンコニン)、エーベルハルト・キルヒベルク(コラレフスキ)ほか

反ナチ化に携わるドイツ人捕虜たちの苦悩を描く
ドイツ国防軍の兵士達が敵軍に協力する、という物語を描く本作。ヴォルフガング・コールハーゼが放送劇として書いた脚本に、実際の戦争体験者や証人達との対話を加筆して1本の映画にまとめ上げた。タイトルは、ソ連軍の捕虜として生き延びたドイツ兵が故郷の家族に宛てた「戦地便り」のメモに由来する。ヴォルフが自身の体験に基づいて制作した『僕は19歳だった』と対をなす作品。


◆『ソロシンガー』 SOLO SUNNY
1980(DEFA)/カラー/104分/DCP
監督:コンラート・ヴォルフ、ヴォルガング・コルハーゼ/脚本:ヴォルガング・コルハーゼ、ディーター・ヴォルフ/撮影:エーベルハルト・ガイク/音楽:ギュンター・フィッシャー/出演:レナーテ・クレスナー(サニー)、アレクサンダー・ラング(ラルフ)、ハイデ・キップ(クリスティーネ)、ディーター・モンターク(ハリー)、クラウス・ブラシュ(ノルベルト)ほか

歌手として生きる女性の人生模様
1970年代のベルリン、プレンツラウアーベルク地区出身の歌手サニーは、小さなバンドと共に巡業公演しながら、いつかソロデビューすることを夢見ている。恋愛に苛まれ、友情に救われながら、人生を築く彼女。そのドラマを東ドイツ産ポップスが彩る。ヴォルフガング・コールハーゼと共同監督した、ヴォルフ最後の劇映画作品。主題歌は大ヒットし、衣装や小道具などはポツダム映画博物館に常設展示されている。

企画:山根恵子
主催:ユーロスペース シネ・ヌーヴォ
協力:DEFA財団 ドイツ・キネマテーク ゲーテ・インスティトゥート東京

  • 予告編

  • 公開日

    10/18(土)~1週間限定

  • 上映時間

    10月18日(土) 12:35 星 / 14:30 ソロシンガー
    10月19日(日) 12:35 ママ、僕は生きてるよ / 14:40 僕は19歳だった
    10月20日(月) 17:30 競技場の裸の男 / 19:30 引き裂かれた空
    10月21日(火) 17:30 太陽を探す人々 / 19:45 競技場の裸の男
    10月22日(水) 17:30 引き裂かれた空 / 19:45 ママ、僕は生きてるよ
    10月23日(木) 17:30 ソロシンガー / 19:35 太陽を探す人々
    10月24日(金) 17:30 僕は19歳だった / 19:50 星

  • 入場料金

    一般2,000円/大学・専門学校生・シニア1,400円/会員1,300円☆/高校生900円/中学生以下600円
    火曜サービスデー 1,300円/1日サービスデー 1,100円

    ☆お得な会員サービス☆
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