白い町で 4K レストア
7月19日(土)公開
「僕は元気だ。何もしていない」 時が逆さに流れる町ポルトガル・リスボンで、男は白くて自由な夢を見た。
アラン・タネールがキャリアの円熟期に放った最も美しい傑作。

© Filmograph - Alain Tanner. Collection Cinémathèque suisse.
☆1984年セザール賞最優秀作品賞受賞
☆1983年ベルリン国際映画祭⾦熊賞ノミネート
晩夏。陽の光を反射させ白く輝く迷路のような町をあてどなく放浪する一人の男。「自由とは何か?」。自己に深く潜り込み、日常と時の流れから離脱しようとする男の旅路を、柔らかな光線で詩情豊かに綴った紀行エッセイ的アラン・タネール長編第8 作。タネールは詳細な脚本は執筆せず、頭に浮かんだ風景、言葉、感情、記憶を自由に連想させ、また併せて俳優たちも即興的な演技を披露して撮影されたという。これまでのキャリア上最も意欲的かつパーソナルな内容であり、同時に観るものの感性を揺さぶる美しい作品に仕上がっている。本作をタネールの最高傑作に挙げる人も多く、『エクソシスト』(73)などで知られるウィリアム・フリードキン監督をはじめ、2025 年アカデミー国際長編映画賞を受賞した『アイム・スティル・ヒア』のウォルター・サレス監督も「お気に入りの映画」とコメントしている。ヴィム・ヴェンダースが心の迷宮として印象的に描いたリスボンを、タネールは社会システムからの逃避と抵抗、そして同時に個の脆さを露呈させる迷宮として描き出す。劇中に幾度となく挿入される8 ミリフィルムで撮影されたリスボンの町並みが、観客の胸に郷愁の想いを呼び起こす。主演はヴィム・ヴェンダース、ヴェルナー・ヘルツォーク、テオ・アンゲロプロス、ラース・フォン・トリアーなど数々の世界的巨匠の作品に出演した名優ブルーノ・ガンツ。人生の倦怠から逃れようとする主人公ポールを、悲哀とユーモアの絶妙なバランスで演じている。2019 年8 月にリマスターされた4Kレストア版で上映。 ※当館では2K上映
【アラン・タネールについて・・・】
ダニエル・シュミット、フレディ・M・ムーラーと並びスイス映画界を代表する映画作家アラン・タネール。
1960 年代末から70 年代にかけて、多言語が交錯し多様な文化を有するスイスに「ヌーヴォー・シネマ・スイス」と呼ばれる新たな映画の潮流をもたらし、ヨーロッパをはじめ世界の映画史の変革をもたらした。ゴダールやトリュフォーなど仏ヌーヴェル・ヴァーグ作家と同世代のタネールは、ロンドンで「ブリティッシュ・ニューウェーブ」、そしてパリで「ヌーヴェル・ヴァーグ」など新時代の映画運動に強烈な刺激を受け、映画製作を開始。初長編作『どうなってもシャルル』(69)で世界的な注目を集めるようになる。反体制的な視点を盛り込みながら、現代を生きる人の心の空虚さや精神の揺らぎといった個の内面を表出させる彼の作品は、世界中で共感を持って受け入れられ、後に続くスイスの作家たちの先鞭となった。1981 年、カンヌ国際映画祭コンペティション部門で審査員特別賞を受賞した『光年のかなた』(81)はタネールの代表作となり、日本では1985 年に「アラン・タネール映画祭」が開催され、評論家の蓮實重彦、梅本洋一らの手によって積極的に紹介された。。『白い町で』(83)はシネセゾン配給により1986 年に全国劇場公開され、ミニシアター文化の草創期を担う作家として大きな人気を博した。
出演︓ブルーノ・ガンツ、テレーザ・マドルーガ
1983年/スイス=ポルトガル/カラー/109分/ビスタ/DCP
-
予告編
-
公式サイト
-
公開日
7月19日(土)
-
上映時間
7月19日(土) 15:00 光年のかなた
7月20日(日) 15:00 白い町で
7月21日(月) 15:20 光年のかなた
7月22日(火) 15:20 光年のかなた
7月23日(水) 15:20 白い町で
7月24日(木) 15:20 光年のかなた
7月25日(金) 15:20 光年のかなた
※8月1日(金)まで上映 -
入場料金
一般2,000円/会員1,300円※/大学・専門学生・シニア1,400円
火曜サービスデイ1,300円/1日サービスデイ1,100円
※年会費1,000円(30歳未満は500円) -
イベント情報