敵
1月17日(金)公開
日本文学界最後の巨人・筒井康隆による老人文学の傑作『敵』に『桐島、部活やめるってよ』『騙し絵の牙』の吉田大八が挑む。
俳優歴 50 年を迎える長塚京三が、12 年ぶりに映画主演を務め、
熟練のスタッフと俳優たちが紡ぐ、人生最期の「讃歌」
ⓒ1998 筒井康隆/新潮社 ⓒ2023 TEKINOMIKATA -
原作は、「時をかける少女」「パプリカ」などの大人気SFから、「文学部唯野教授」のようなメタフィクションまで数々の作品を生み出してきた筒井康隆。
過去には文壇からのバッシングを受け、断筆していた期間もあったが、執筆再開後の 1998年に「敵」は書かれた。
紆余曲折の人生を生きてきたからこそ辿り着いた現代老人文学の最高峰ともいえる本作では、妻に先立たれ、残された預金を計算し、人間関係を清算し、捨てきれない欲望と向き合いつつも、いつか来る終わりに向けて、慎ましやかに夢と現実の間を生きる元大学教授の清らかな暮らしが描かれるが、その先には筒井流の一筋縄では行かない「仕掛け」が待っている。
近年は監督・脚本を手掛けた『騙し絵の牙』など、数々の作品で確実に映画監督としての円熟味を増した吉田大八。本作では、自身が長年の愛読者でもあったという筒井康隆の小説を自らの手で映画化。原作を忠実に表現すると共に、繊細さと力強いエッセンスを、映像でしか成しえない手法でスクリーンに結実させている。
『瀬戸内ムーンライト・セレナーデ』(97)で第 21 回日本アカデミー賞優秀主演男優賞を受賞し、今年俳優歴 50 年を迎える名優・長塚京三が演じるのは渡辺儀助、77歳。
大学教授の職を辞して10年――妻には先立たれ、祖父の代から続く日本家屋に暮らしている。料理は自分でつくり、晩酌を楽しみ、多くの友人たちとは疎遠になったが、気の置けない僅かな友人と酒を飲み交わし、時には教え子を招いてディナーを振る舞う。預貯金が後何年持つか、すなわち自身が後何年生きられるかを計算しながら、来るべき日に向かって日常は完璧に平和に過ぎていく。遺言書も書いてある。もうやり残したことはない。
だがそんなある日、パソコンの画面に「敵がやって来る」と不穏なメッセージが流れてくる。
自由に生きることへの羨望と、老いることへの絶望の狭間で、人生の最期に向かって静かに、そして清らかに暮らし、そのまま静かに終わっていくひとりの男……人間はそんな生き方を望んでいるのだろうか。本当は「敵」の襲来を望んではいないか。
全ての人に等しく訪れるであろう「敵」を見事なまでに映し出した、人生最期をどう締めくくるかを問う、心揺さぶる人間ドラマが誕生した。
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予告編
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公式サイト
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公開日
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上映時間
1/17(金)~23(木) 14:35/19:00
1月24日(金)以降も続映予定 -
入場料金
一般1,900円/大学・専門学校生1,400円/会員・シニア1,300円/高校生800円(オンラインは900円)/中学生以下500円(オンラインは600円)
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前売券情報
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イベント情報