100%カラックス映画、心揺さぶる自画像
レオス・カラックス最新作『IT’S NOT ME イッツ・ノット・ミー』。それは「これは私ではない」と題されたセルフポートレート。カラックスが初めて自ら編集しためまいのようなコラージュ。「鏡を使わず、後ろ姿で描かれた」自画像。子供の始めての嘘(フィクション)のような「僕じゃない」という言い訳――。
2024年のカンヌ国際映画祭プレミア部門で初公開され、大きな注目と関心を集めた本作は、ルモンド紙が「五つ星・傑作」としたのを始め、「ゴダールの精神的後継者による心揺さぶるエッセイ」「カラックスのとてつもない宇宙」と高く評価された。アメリカでも秋のニューヨーク映画祭で「多彩なヴィジュアルスタイルのシネエッセイ」「2024年の最も颯爽とした映画」と高評が続き、同映画祭に参加していたイザベル・ユペールも「100%レオス・カラックス映画。この映画にとても心を動かされた」と語っている。
イメージと音の奔流、間断なく入る文字・声・音楽。次々と引用される映画・写真・動画。
カラックスの記憶と思考の中に呑み込まれる、魔法のような42分。